犬の病気・猫の病気を解説「ペットの病気大百科」猫の病気
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下痢というのは、もちろん人間にもときどきあることで、軽いものならそう気にしないうち治ってしまうものです。
それで、ともすると猫ちゃんの下痢も、「あ、便が柔らかい」と思うくらいで、見過ごしてしまうことが多くありませんか。
しかし、ご存じのように、猫の下痢は、人間のとは違って、なかなか厄介なことになることが多いようです。
子猫の場合は生死に関わったりします。
子猫の場合は注意をしても、大人猫の場合は下痢をしててもそう気にしなかったり、外でトイレをさせてる猫は気づかなかったりします。下痢をして肛門のへんが汚れると、猫はその周辺を舐めるのでただれることがあり、気をつけてれば外出猫でもわかるのですが。
猫の下痢は、治療が遅れると下痢の原因が除去できても、慢性化してしまうことが多くあります。これが人間の下痢とは違うところです。
そうなると室内飼いの場合は、トイレ周辺や部屋での垂れ流し、肛門を舐めるためにその部分のただれなど大変厄介になります。
猫の下痢はけっして軽視してはいけないのです。
風邪の症状や通常ではない嘔吐は、ウイルス性の伝染病や毒物の誤飲の可能性などがあり、気をつかうのですが、下痢は軽視しがちです。
下痢を防ぐには、検便は便を獣医さんに持っていけばすむことですから、定期的に検便し、異常があれば対処することがいちばんです。
ここでは、下痢がどうして起こるのか、パートナーの知識として、ちょっと分かりにくいこともあるので、できるかぎり簡便にまとめてみました。
ただし、下痢というのは、お医者さんでも、かなり難解で原因がはっきりしない場合もあるそうです。いろいろな原因があり、また一般的な症状とは違う症状を現すケースもあります。だから、これはあくまで目安です。
食べすぎたり、いつもと違ったものを食べたりして下痢をする場合です。便の回数はいつもと同じ場合です。
下痢の中では、軽いものと言えますが、そのままいつもどおりに食事をさせると回復しなくなる場合があります。
大人の猫なら、一日絶食させて水だけ与えるのがかわいそうですが一番いい自然な治し方のようです。
しかし子猫だと、一日食事を抜くと体に蓄えがないので低血糖という症状を起こし、けいれんしたりして危険になることがあります。
だから、少しずつ消化のよいものを与え様子をみるという方法がいいそうです。
子猫の場合、体が未発達のため消化酵素の不足による下痢もあります。
猫の中には、ドライフードを食べると下痢をするタイプの猫もいるそうです。相性のいいドライフードもあるでしょうから、いろいろ変えてみて体質に合うフードを見つけるのがいい。また、ドライフードを食べたあと水を飲みすぎるのも原因かもしれないので、ふやかしてあげてみる。ただし、どうしてもダメなら総合的な栄養素の入っている缶詰にするしかありません。
寄生虫
=何度もトイレに行く・食欲元気はある
水や泥のような便をし、何度もトイレに行き、あまり便が出ないようなときは寄生虫の疑いがあります。
大人の猫の場合も同様なのですが、子猫と違って、大人の猫の場合は虫がいても症状が出ない場合があり体に抵抗力がついてる場合が多いそうです。
子猫の場合は、寄生虫による下痢を放っておくと、次第に脱水症状が起き、元気・食欲がなくなり、低血糖になって致命的になる場合があります。
また、慢性的な下痢にもなります。
感染症
=何度もトイレに行く・嘔吐、血便をともなう・食欲元気なし
上記の症状がとくにひどい場合、パルボウイルスによる汎白血球減少症(FPLV)が疑われます。典型的な症状です。1〜3日で急死することもあるそうです。この汎白血球減少症の場合、生後1年前後までの猫は激しい嘔吐のうちに死亡することが多い。猫の3種ワクチンで防げます。
また、子猫の場合はとくに、細菌性の感染症で下痢が起きます。大腸菌症やサルモネラ症です。
その他この症状では前項の寄生虫を放っておいて重症になった場合、食中毒の場合も考えられます。
細菌、ウイルス、寄生虫などが腸の中の粘膜に炎症を起こして下痢になるのです。
牛乳
=下痢をする子猫が多い
*牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する腸内の酵素(ラクターゼ)は、大人猫になるにつれ少なくなる。したがって分解できず、下痢になる。ことに子猫の場合、下痢が重症になることもあるのであげないほうがいい。ただし、まったく大丈夫な猫もいます。
*拾い子猫などに乳を与えたい場合、乳糖がなくタウリンが入っている市販の猫用ミルクがいいわけだが、すぐ手に入らない場合、スキムミルクで代用する。それもないとき、牛乳は水(湯)で薄めてみて様子をみて、下痢するようならやめる。
*今居る地域では、集乳所という、一区画の農家から集めた原乳を一時貯めるタンク を持つ家がある。以前あった近くの集乳所では、タンクに出し入れするとき家の前のアスファルトに原乳がこぼれた。すると、その家の何匹かの飼い猫や、ノラさんが、大喜びでペロペロ舐めにきた。みな大好物のようだった。だからこの原乳ではたぶん多くの猫が下痢しなかったのだろう。この付近では、集乳所と猫の行動は同じよう。でも今考えると不思議。調べてみる。
=慢性的な下痢、食欲元気はある
いつも食べているごはんでも、消化不良やアレルギーを引き起こすことがあるそうです。食べ物をいろいろ試してみて、下痢を起こさせる食べ物を取り除くことが必要です。 種類の違うフードを一日毎に変えてみて下痢の起こるフードを発見します。
腸閉塞
=下痢と嘔吐、激しい腸の蠕動(ぜんどう)がある
あまりない病気だが、子猫には起こることがあるそうです。
お腹がぱんぱんに張っていた猫がこのような症状を示したときは要注意です。
食べすぎ・食あたり
=便の回数はいつもと同じ、食欲元気はある
子猫の場合はいけませんが、大人猫の場合は、食事を2、3日抜いても、水を飲んでれば体にそう負担はないそうです。
いつもと違う食べ物をあげたとか、原因のはっきりしている、食事による下痢の場合は絶食が一番いいそうです。1日食事を抜くのです。猫ちゃんは「ご飯くれー」と騒ぐでしょうが、心を鬼にして。こうした後は、なんでも食べてくれるもので、偏食気味の猫ちゃんを治す機会にもなります。
感染症・臓器の疾患
=急激な下痢や嘔吐。血便。食欲元気なし
これはもちろん直ちに獣医さんにいくべきです。
どのように私はサナダムシを削除しますか?
汎白血球減少症での典型的症状ですが、これはワクチンがあるので防げます。他のウイルス性の感染症では、ワクチンのないものも含めて、ひどい下痢の症状はないそうです。
ただし、細菌性の腸炎はあって、猫同士で感染します。ただしこれは子猫に多く、大人猫は抵抗力ができていることが多いそうです。
臓器の疾患による場合にはさまざまな病気が考えられるそうです。
毒物・異物の誤飲
=急激な下痢。嘔吐をともなうことも
殺虫剤や殺鼠剤、農薬の誤飲の他、注目するのは異物の誤飲での下痢です。
昆虫、イナゴ・バッタ・キリギリスなど、またゴムやプラスチックの破片、縫い針、骨片でも起こることがあるそうです。
自分の毛を飲んで起こる毛球症は嘔吐が主症状ですが、まれに腸閉塞を引き起こすことがあります。ふつうはあまりない症状ですが、長毛種の猫は要注意で、毛球症を防ぐ内服薬を獣医さんでもらえます。
神経的なもの
下痢というと、腸内の寄生虫を思い浮かべてしまいますが、実際は大人の猫では寄生虫がいても症状が出ないことが多いそうです。問題になるのは子猫です。
また、下痢ということでみた場合、とくに下痢を引き起こすのは鉤虫(かぎむし)です。猫の寄生虫で一番多いのは回虫と条虫なので、下痢の原因が寄生虫であることは少ないといえそうです。
以下の症状は、このうちのいくつかの症状がみられるということです。
回虫
症状=〇食欲・元気がなく、やせてくる 〇嘔吐 〇お腹がふくれる 〇毛の艶が悪くなったりがさつく 〇下痢あるいは便秘 〇てんかんのような発作を起こす 〇貧血(歯茎がピンクでなく白くなる) 〇便や口から虫が出てくる
大人の猫ではこうした症状が出ることは少ないそうです。しかし中には、腹痛やイライラ、食欲・元気がなくなることがあるそうです。
また、腸内で大量の回虫が発生したときは、腸の活動を止めたり、腸閉塞を起こしたりするそうです。
駆虫剤で簡単に退治できますが、回虫の卵はしぶとくて土の中で生きつづけます。消毒は熱湯や日光がいいそうです。
鉤虫(こうちゅう)
症状=〇食欲・元気がなく、やせてくる 〇下痢でコールタール状の便や、血便で粘液状の便 〇貧血 〇腹痛
貧血と下痢が主症状です。
母猫から胎内感染もし、生まれた子猫は1ヵ月くらいで死ぬことが多いそうです。
また、子猫の場合、虫の発育が早く、急性に症状が現れて死ぬこともあります。
鉤虫の駆虫剤は毒性の強いもの多く、素人が買ってきて与えたりすると、危険なケースが多いといわれます。
条虫
症状=〇下痢(または便秘) 〇消化障害 〇貧血 〇慢性腸炎 〇肛門から米粒状の虫の片節が出てくる(瓜実条虫の場合)
通常は、あまりひどい症状はなく、下痢を起こすこともまれです。
しかし、大量に発生すると、激しい消化不良を起こします。
またさらにまれには、条虫のうちの猫条虫という種類は、とくに強力で、脳に侵入して脳神経障害、目に入って失明することがあるそうです。
この虫は、肛門から出てくる虫の片節で発見することが多い虫です。
サナダムシともいわれるこの条虫には瓜実条虫(=犬条虫)、マンソン裂頭条虫、広節裂頭条虫、猫条虫などがあります。このうち猫に多い犬条虫はノミを中間宿主とします。猫条虫はネズミを食べて感染することが多く、野生のネコ類に多い条虫で家猫には最近では少ないといわれます。
寄生虫について→
原虫も広い意味で寄生虫です。単細胞の動物で、簡単な細胞でできています。
コクシジウム・トキソプラズマ
症状=〇下痢(最初は水様性または粘液状。ついで血便) 〇食欲・元気がなくなり、やせてくる 〇発熱
コクシジウムは、子猫の場合に症状が現れやすく、大人猫の場合は、出ても軽い下痢でおさまり、あとは抵抗力がついて体内にいてもなんでもなくなるという場合が多い。
子猫の場合には、大量につくと、慢性的な下痢のあと、食欲不振、衰弱、脱水症状と進み、死亡することもあります。症状が出たときは獣医さんへ、です。
体外に出るときはオーシストと呼ばれる状態になります。卵のように細胞を変化させるのです。そして4日間で感染することができるようになり、再び口から体内へ入ります。一度かかった猫は、トイレの始末には気をつけること、熱湯消毒も必要です。
また、トキソプラズマは、コクシジウムの一種で、かかりやすいのは猫の他、人間や豚、羊だといわれます。猫ではなく、むしろ豚の生肉を扱ったまな板から感染することが多いともいわれます。人間の場合、ふつうは感染しても症状は出ません。
昔、妊婦とトキソプラズマが問題にされましたが、妊婦が抗体を持ってればふつうは問題なく、現在では妊娠時期に抗体検査をすれば問題ありません。猫がトキソプラズマを他の動物にうつすのは、初めて感染した後1〜3週間だけです。
大人猫の場合、かかってもふつうはあまり症状は現れません。子猫の場合、ときには過激に急性の発熱・肺炎・肝臓の障害・神経症状・嘔吐・下痢などいろいろな症状が現れます。死ぬことも珍しくありません。
トキソプラズマについて→
ジアルジア(ランブル鞭毛虫べんもうちゅう )
症状=〇下痢(粘液状や血便) 〇食欲・元気がなくなりやせてくる
この原虫だけによる発病はあまりないとされます。他の寄生虫や細菌と一緒になってはじめて下痢などの症状を起こすというのです。
また、ジアルジアはコクシジウムと違って、猫だけに寄生するのではなく、なんと人間でも比較的多い虫です。人の場合、ふつう症状は現れません。
つまり、便の衛生管理がとくに必要なわけです。
コクシジウムと同じく、オーシストで感染します。
*付記:最近では人にもけっこう多いそうです。うちの猫は親子でこれにかかり、下痢便垂れ流しで苦労しました。最初に行った病院がヤブで、何カ月も原因がわからなかったのです。1999.7
下痢はお医者さんに診せるのがいちばんですが、家庭での食事の注意や、看護法をみてみましょう。
消化のいい食事を=おかゆはダメ!
下痢をしている猫には、消化のよいものをあげるのが一番です。
◎おかゆはダメ
おかゆはよくないとする専門家が多いようです。余計に下痢を悪化させるともいわれます。
理由は、おそらく、人間の腸が米などの炭水化物を消化するのに都合よくできているのに、猫の場合は、肉食動物ですから、負担がかかるということでしょう。
動物は菜食になるにしたがって腸の長さが長くなり、肉食になればなるほど短いと聞きます。猫の下痢で弱っている腸には、おかゆは負担なのです。
下痢しがちな猫には、穀物や繊維質の多い野菜を多くあげることはさけたほうがいいようです。つまり、人間にとってはヘルシーといわれる菜食主義は、猫には害になりやすいのです。
◎マグロの刺し身や鶏肉のササミがいい
◎魚、肉は脂肪分を取る
◎下痢をしやすいのは、牛乳。生のレバーや穀物も多く食べると
牛乳で下痢をする猫が多くいます(しない猫もいます)。牛乳の乳糖を分解する腸内の酵素が猫には少ないからだそうです。下痢猫に乳製品は禁物です(牛乳で下痢しない猫は別)。
ビオフェルミンが効く場合も=乳酸菌の効用
食べすぎなどの軽い下痢の場合に、ビオフェルミンが効くとする獣医さんもいます(『ネコの家庭医学』)。たとえば、子猫の食べすぎの下痢のときに、ほんの少しあげ、1日様子をみてみると書かれています。
ビオフェルミンはもちろん人間用の整腸薬です。そして、整腸薬で、乳酸菌以外のものが入っていないのは、ビオフェルミンだけです。つまり、危険が少ないわけでマイルドなわけです。
もちろん、細菌性や寄生虫、臓器の異常などが原因の下痢には、その根本的な治療にはなりません。
ただ、ある程度腸が丈夫なら、そうした疾患への抵抗力もつくわけです。
で、腸が丈夫ということは、腸内の"いい細菌"が活性化していることです。いい細菌が悪い細菌を除去するわけです。
ビオフェルミンには、整腸効果のある乳酸を早くつくるフェーカリス菌、多くつくるアシドフィルズ菌、乳酸とともに酢酸をつくり腸内でのすみつきがいいビフィズス菌の3種の乳酸菌しか含まれていません(能書き通りの記述)。
ビオフェルミンは、武田薬品から、新ビオフェルミンという名前で、売られています。どこの薬局でもある薬で、細粒のタイプは、少し甘味がある無味に近いもので食品に混入しても、猫ちゃんは抵抗ないようです。
じつは、猫に与えるにあたって、自分で試してみたのですが、たしかに、変化!はありました。便の調子が変わったのです。一、二度飲むだけで変化するほどの効果があります。大人で添え付けの小さなスプーンで3杯、3ヵ月〜4歳の子供が1杯ですから、大人猫なら半杯〜1杯ほどでいいわけです。そんなものですぐ変化が起こるのか疑問にも思いますが、けっこう効果がすぐ出るようで、逆に出なければすぐ止すべきです。
下痢猫のほうも、すぐに少しよくなったようでした。
これはケースバイケースで、人・猫とも個体差があるでしょう。またもし、1、2日で変化がなければすぐ止すべきでしょう。
さらに、エビオスというアサヒビール/田辺製薬の胃腸薬がありますが、これはビール酵母剤です。動物用のもあります(人間用のほうがいいよう)。こちらは乳酸菌を増殖させる効果もありますが、ビタミンB群などの栄養補給、食欲増進の効果があると能書きに書いてあります。
こちらのデータは今ありませんが、子供時代、愛犬が、錠剤のまま喜んで食べてました。獣医さんにすすめられてのことです。
エビオスには、ノミがいやがる成分が皮膚に分泌される作用があるという話があります。つまりノミを寄せつけない。
猫用には、一日5錠までといわれます。
調理したレバーやココアが下痢止めになる!
さらに、びっくりする下痢止めの奥の手があります。
古谷沙梨さんがこう書いています。
調理したレバーのほか、ココア・パウダーを少々おやつ(カテージ・チーズ、卵など)に混ぜても便が正常に戻ることがある(『注文の多い食客』*この本の健康法のページは宮田勝重獣医が監修している)。
ココア・パウダーは、よく売ってるミルク・砂糖の入ってるものでなくココアの粉だけのものです(ミルク入りだと、乳糖で下痢をする猫だと逆効果なので。ただし、ココアは猫には毒なので、毒性の弱いミルク入りので試してみてもいいでしょう。)。
これは、なかには効果のある猫もいるわけです。
寄生虫や細菌が原因ではない、慢性下痢猫ちゃんのために書いておきます。
ただし、あげるのは一度に耳掻き1杯分くらいで、それも2,3度やってみて効果がないときは必ずやめて下さい。また、テンカンや、呼吸器系・心臓系の疾患のある猫にはあげないでください。また、子猫にもあげないほうが良いです。
ココアを、大量にあげたり、習慣的に何度もあげると、猫にとっては致命的な毒になります。 下コラムも参照。
抗生物質は要注意!=体調の変化に気をつける
寄生虫や臓器の異常など、下痢の原因はいろいろあります。
そして、獣医さんの本にも書かれているように、慢性化した下痢は、その原因さえ見つけることが困難になる獣医泣かせの症状もあるそうです。
細菌やウイルスによる下痢では、抗生物質や抗菌剤が使われます。これは必要です。
しかし、抗生物質はむしろ下痢を長引かせることもあると書く翻訳書もあります(『ザ・キャットケア』)。
いずれにしろ長期使用はさけるべきだし、投与中の体調の変化をよく観察すべきで、安心できる獣医さんの指示にしたがうことが必要です。
人用の下痢止めで有名な薬ですが、これを猫に使う人がいます。1/10粒ほどを与えるのですが、じつは、猫には正露丸がすぐにも致死量になります。危険なのでやめて下さい。なかには正露丸の臭いを好む猫もいます。
防虫・防腐剤のクレオソートとは成分が全く違うらしいですけど、この正露丸が猫にはたいへん危険なのです。
*薬のクレオソート=ブナの木などが原料。工業用クレオソート=コールタールが原料。
※参考文献/『ネコの家庭医学』福留孝(保育社)・『注文の多い食客いそうろう 』古谷沙梨(誠文堂新光社)・『ネコの病気百科』(誠文堂新光社)・『猫の病気ハンド・ブック』(ペットライフ社)・『ザ・キャットケア』(ペットライフ社)・『猫の家庭医学事典』(誠文堂新光社)・『猫の獣医学入門』斎藤昭男(養賢堂)・『猫なんでも相談室』加藤由子(高橋書店)・『ねこ なんでも110番』小暮規夫(主婦の友社)他
ときどき下痢のある程度なら、また数日で治ってしまう程度なら医者に行く必要はない。慢性的な下痢の人は、とくに中年以降は胃液に酸のないタイプのことが多い。 下痢は暴飲暴食のためより、胃腸型のカゼで起こることのほうがはるかに多い。このタイプの下痢はカゼが治ればおさまるので放っておいていいが、小児の場合は脱水症を起こして危険なので医者に行く。 大人のカゼ型の下痢の場合、絶食やおかゆにすることがあるが、その必要を認めない医者もいる。普通食か多少消化のいい食事で いい。 こうしたとき、下痢止めを飲むと、いかにも薬で治ったように思えるが、本当に薬が効いたのかどうかを判断するのは大変むずかしい。薬を飲まなくても止まったのかもしれない。 下痢止めの中には、有害無益なものや効果のないものが多々あるだろう。 細菌性の下痢は、抗生物質が特効的に効く。この下痢の特徴は熱が高く、下痢をひどく、しばしば血便になる。医者に行くべき。 〇手当て=下痢がひどいと、水分がなくなるので、喉が渇いてくる。渇きが止むまで水分をとる。ただの水よりも番茶や紅茶、ジュース、など水に何か含まれているもののほうがいい。胃におさまるから。だからスープやみそ汁、牛乳は栄養分もあっていい。ただし牛乳類は症状を悪化させ� �場合もある(下痢猫には牛乳は禁物です)。リンゴをすりつぶしたものは腸の運動を遅くする働きがあるので下痢にはきくようだ。 〇整腸剤=ビオフェルミンやビオスミンは、生きたままの乳酸が入っているので、内服するとその菌が腸で繁殖し、異常発酵などによるガスの溜まりを抑えて不快感を取り去ったりする。 エビオスは各種のビタミン類を多量に含んでいるので下痢にある程度有効で便秘にもいい。 これらの薬は、多少飲みすぎても、格別な副作用もないようなので、安心して使用できる。ただし、これらを飲んで下痢がおさまっても、飲んだから効いたのか飲まなくても治ったのか、判断することはむずかしい。 参考資料『医者にかかる知恵、か からない知恵』(翻訳書/保健同人社刊) |
ココアで下痢止め・便秘解消 ココアは人間の健康食品として人気です。 食物繊維が豊富で,大腸ガンの予防や便秘によく,また鉄分が多い稀な食品で,貧血にもいいそうです。 そして、ネコちゃんにもよるでしょうが,ネコちゃんの下痢に効くようです。 人の便秘にいいというのは逆のようにも思いますが,両方に効果があるということでしょう。ということは,ネコの便秘解消にも下痢止めにもなるということです。 ココアは,砂糖とミルクの入っているものでなく,ココアパウダーを,ほんの少々,小さじの先のほんの少し(耳掻き1杯ほど)を加減してあげます。少量だと ,苦いけど缶詰の中身などに混ぜてしまえば食べてしまいます。ただし、以下に書くように、ココアは猫には毒なので、心配なら、ミルク・砂糖入りのを耳掻き1杯ほどあげて試してみるほうがいいかもしれません。 ずっと下痢ぎみで,寄生虫やウイルス感染などのはっきりした原因ではない限られますが,効果があるようです。ただ,何回かあげると,もとに戻って下痢したりします。加減して止めたりあげたりしてるうちおさまる場合があるようです。2,3度あげてみてやめるようにしてください。習慣化は禁物です。 便秘に試したことはありませんが,やはりネコちゃんでも効くのでしょう。 なお、子ネコや、テンカン、心臓・呼吸器疾患のあるネコには与えないでください。 ―――――――――� �―――――――――――――――――――― 下痢止めの場合の耳掻き1杯というのは、小さじ1杯が6gとして、0.5gくらいです。仮にココアパウダー(ミルク入りでなく純粋パウダー)が1gあたり50mgのテオブロミンを含んでいるとするとテオブロミン量は25mgです。犬と同じとすると、体重3sの猫なら、テオブロミン255mgが危険量なので、危険量の約10分の1です。320mgが致死量なので、致死量の約13分の1です。 10分の1というと多い気がしますけど、たとえば下痢止めには、オウバク末や次硝酸ビスマスなどが入っています。適量なら副作用は少ないでしょうが、これを適量の10倍服用したら、体に異変が起きます。どんな薬でも多量に用いれば危険です。 心配なら、ミルク・砂糖入りのを耳掻きほどで試してみるほうがいいかもしれません。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ココアが猫に致命的な毒になるとき。注意 → ココア・チョコレートが猫に致命的な毒になる この項2001.3.24追記 ココアの成分(同じようにカカオ豆原料のチョコレートも同じ) ●ヒトに(恐らく大部分は猫にも)いいとされる成分・働き ●猫にとって毒になる成分・働き チョコレートが致死量になるとき どのくらいで致死量になるのでしょう。いろいろ獣医さんのデータを当たると、犬のデータしかありませんが、体重1kg当たりテオブロミン85mg以上を摂取すると危険。105mg以上で致死量に なるようです。
3kgの犬の場合、チョコレートでは、カカオの恵み41gで危険、50gで致死量。ガーナミルクチョコレートでは、106gで危険、131gで致死量になります。 ココアでは、贅沢なココアで、28gで危険、34gで致死量。ミルクココア大人タイプで、65gで危険、80gで致死量です。 小さじ1杯で6gとすると、28gは4杯半、34gは5杯半。65gは11杯。80gは13杯。 ミルクココアは普通1カップに小さじ4杯ほどを入れます。ということはミルクココア3カップでアウトになることがあるということです。スーパーによくある森永ミルクココア大袋は、370gです。 料理用チョコレートやダークチョコレート(スイートチョコレート)は、ミルクチョコレートの4〜10倍のテオブロミンが含まれていることがあるそうです。外国製のものは多いそうです。 下痢止めの場合の耳掻き1杯というのは、小さじ1杯が6gとして、0.5gくらいです。仮にココアパウダー(ミルク入りでなく純粋パウダー)が1gあたり50mgのテオブロミンを含んでいるとするとテオブロミン量は25mgです。犬と同じとすると、体重3sの猫なら、テオブロミン255mgが危険量なので、危険量の約10分の1です。320mgが致死量なので、致死量の約13分の1です。 大量に食べてしまったことがわかったら、吐かせることができるなら吐かせます。いずれにしろお医者さんに即時行くべきです。お医者さんは排泄の促進、点滴、胃洗浄などで治療します。 ココア耳掻き一杯を2,3度くらいをどうしてもの場合の下痢止めにする以外は、ココア、チョコレートは禁物のようです。猫の場合、他の食べ物と混ぜ込んだとしても、危険量以上の分量が入っていたら苦いので食べないでしょう。でも、中には、変わりものを好む猫ちゃんもいますので。 *カフェインはテオブロミンより強力なメチルキサンチン類です。(ただし利 尿作用だけはカフェインよりテオブロミンのほうが強い。)コーヒーのほうがもっと猫犬には有害なのですけど、現実にコーヒーを飲む猫犬はまずいないので問題にあまりならない。ただし、稀にコーヒー好きの猫がいるようなので、要注意! |
1994年11月号掲載 1999年5月28日転載
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